近江商人×しがトコ SPECIAL CONTENTS

近江八幡さんぽ

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質素倹約の暮らしを明るく楽しむ!近江商人の活躍を支えた妻のポジティブ姿勢を学ぶ

時代劇のロケ地でも有名な、情緒漂う町並みに心癒される近江八幡。
琵琶湖に通じる八幡堀の水路を中心に、
安土桃山時代、豊臣秀次が自由商業都市としての発展を目指して
楽市楽座を実施し、商業が発展してきました。
この地から誕生したのが八幡商人です。
古き良き日本の佇まいが残る町並みを歩きながら、
しがトコ編集部が八幡商人の足跡をたどります!

八幡商人が代々に伝えた暮らしのあれこれ

伝統的な建造物が並ぶ町並みは、
どこをとっても絵になる佇まい。
そんな風景を歩きながらまずは

旧警察署を利用した郷土資料館。
近江八幡を拠点に活躍したヴォーリズ建築の建物です。
この敷地内にある「歴史民俗資料館」へ行ってみました。

当時使われていた暮らしの道具が
ずらりと展示されています。

これは「手ぬぐい・ピンチ」。洗濯バサミの元祖を発見!
よく見ると、ほうきの柄の部分を再利用しているのでしょうか?

「おくどさん」もありました。
ここは、今でいえばシステムキッチンですね。
中央にある小さな立て札には

『諸事倹約』の文字が。
質素倹約に努めた近江商人の精神を
ここにも見ることができます。

資料館の中庭には、民具などがずらり!
けっこう無造作に展示してありますが、
どれも地元で実際に使用されていたもの。

なんと麦壺(蒸し風呂)がありました!
昔にもサウナがあったとは驚き。
この中に入ってる姿って・・・
見てみたいような、見たくないような。

立派な消防ポンプ車も発見。
八幡商人にとって何よりも大切だったのは、
お客様の帳簿。

帳簿が燃えてしまえば、
商売が回らなくなってしまいます。

だからこそ、近江八幡の町では
昔から地元の消防団にとても力を入れていたのだそうですよ。

町並みに残る、昔の面影を探しながら歩く

この古い住宅。なんだか気になるところを発見。

近づいてみると、この輪っか。 なにかをひっかけるモノでしょうか?
「たぶんこれは馬かな?
行商の馬をここにつないでいたのかもしれません」
と近江八幡観光物産協会の田中さん。

「この飾りが素敵ですね~」と、
取材班がなにやら触っているのが、

これ、郵便受けでした。
お手紙や新聞がここに投函されるのだそう。
木の格子と馴染んでいて、雰囲気があります。

毎日の暮らしに楽しみを創造する近江商人の女性たち

町並みを楽しんだあとは、
重要文化財の「旧西川家住宅」へ。

靴を脱いで、おじゃまします。
この建物は、築300年の歴史を誇る、国の重要文化財。
重厚な雰囲気に自然と背筋が伸びる思い。
八幡の豪商が所蔵していた数々の調度類が展示されています。

さっそく目に止まったのがこちら。
明治頃に使われていた「指ぬき」ですが、なんて美しい!

着物の切れ端で作っているとは思えない完成度の高さ。
いろんな模様や刺繍がほどこされています。

とっても細かい手仕事!これも近江商人の女性たちが
教養の一環として指導していたそうです。

これは手作りの守り袋。小さな子どものために作ったもの。

なかには、こんな迫力のあるお顔も!
本当に芸が細かいです。

現代にも伝えたい八幡商人・西川家の家訓

さらに別の部屋へ行くと、壁に家訓が。

「義を先にし利を後にすれば栄える」

利益追求を後回しにすることが、商売繁盛となり
やがて利益が生まれ、その家は栄える。

これは近江商人に共通した理念だそうで、
商売のことに限らず、なんだか自分の生き方にも
喝を入れてもらったような・・
背筋が伸びる家訓でした。

洗練された小物の数々に当時の暮らしぶりを思う

最後に訪れたのは江戸時代の豪商が建てた商家「旧伴家(ばんけ)住宅」
ここでは、近江商人の妻たちが、毎日の暮らしを
豊かに過ごしていたんだろうなぁと思わせる、遊び心のある小物が。

「引き出しをあげて下さい」の文字につられて・・・

ドキドキしながらあけてみると、
ガラスケースの引き出しの中には、

タコ!端切れで作ったタコの人形?が。
ちょっとおとぼけた雰囲気がかわいいです。

「これを見ると、江戸時代にもタコが
身近だったことがわかりますよね」と笑う
近江八幡観光物産協会の田中さん。

エビやザリガニらしきものも発見!

「エビのひげって何本だっけ?」
「もっと、ザリガニの硬さを出さなきゃ!」

ああでもない、こうでもないとおしゃべりしながら
裁縫している近江商人の女性たちを想像すると・・
なんだか親近感がわいてきました。

これは八幡商人の主要な商売道具だった「蚊帳(かや)」。
緑と赤のしゃれた色遣いが素敵だったので
実際に蚊帳(かや)の中に入ってみました。

蚊帳(かや)の中は、秘密基地のよう。
四方を守られている感じで妙に落ち着きます。

立派な近江商人を目指して丁稚奉公が汗を流したまち  近江八幡

そして「旧伴家(ばんけ)住宅」を後にして帰路へ。
途中、丁稚奉公(でっちぼうこう)姿をモチーフにした
「とび松くん」に遭遇!

近江商人のいろはを学ぶために全国各地から
丁稚奉公(でっちぼうこう)の幼い子どもたちが近江八幡へ。
近江商人の住宅は、経営のノウハウやマナーを教える
教育の場でもあったんですよね。
なんて、この可愛らしい顔を見つめながらしみじみ。

町のあちこちに近江商人の息吹を感じる近江八幡。
この水路にも、かつてはいろんな物品を運ぶ船が行き交い
賑わっていたのだなぁと思いつつ。
石畳をゆっくりと歩き、帰路へ。

近江八幡の町そのものが、まるで映画のロケ地のようで
古き良き日本を感じる景観を楽しみながら
歩いているだけでも普段とは違う空気でリフレッシュできました。
そして、近江商人の女性たちが作った裁縫の数々は本当に素敵でしたね。
着物の端切れを使い、質素倹約を徹底しつつも遊び心を忘れない。
むしろ質素倹約そのものをポジティブに変換してしまう、
そんな近江商人の女性の暮らしぶりを知って、なんだか元気をもらいました。

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  • しがトコ編集長・亀口美穂

    ライター:亀口美穂(しがトコ編集長)
    大阪府堺市生まれ。結婚・出産を機に滋賀へ移住。住んで初めて分かった滋賀の魅力をもっと多くの人に伝えたい!という想いから「しがトコ」を運営。“自慢したくなる滋賀”をコンセプトに、子育て傍ら滋賀を練り歩く。

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